午後のマドンナ

長いトンネルを抜けても何の変化もなく、面白味も感じられない延々と続く森林の光景を、ある種の詩的なるものに変貌させる術を考えた結果、彼はこの森林を映画のタイトルバックとして使用する妄想を行うこととなった。彼がまず最初に思い浮かんだものは、キ…

或る日の石山龍太郎

また夜が明ける。いったいいつになったらずっと夜のままでいてくれるのだろう。石山はため息ひとつついてうーん、と唸り声をあげた。体は疲れ切っていて、かすかな絶望が浮遊している。あの、夜が明ける、薄暗い、しかしまた新しい1日が清々しく始まりますよ…